関心高いが 具体的行動はまだ CO2等排出量削減でDORオプション調査

 気候変動枠組条約の目的を達成するために採択された京都議定書に基づき、日本は、CO2などの温室効果ガスの排出量を、今年から5年間かけて1990年比で6%削減することを約束しています。地球温暖化が急激に進む中、中小企業でも排出量の削減が課題となっていますが、多くの会員企業で「関心はあっても具体的な行動には踏み出せていない」状況が、3月に行われた同友会景況調査(DOR、2008年1~3月期)のオプション調査項目の結果から分かりました(回答数901社)。

建設業がもっとも積極的

 調査では、まず「CO2等の排出量削減について」問うています。さすがに「関心がない」との回答はわずかに3・3%ですが、「関心はあるが具体的取り組みはしていない」が62・7%もあり、あわせて66%、回答企業の約3分の2が、温室効果ガス削減に向けた具体的な行動に踏み出せていないことがうかがえます。

 一方、「積極的に取り組んでいる」回答は19・2%あり、「本格的な取り組みを検討中」(15・1%)とあわせると、3割強が排出量削減に向け、企業として本格的に取り組もうとしています。(図1)

DOR82号オプション調査図表1

 これを業種別に見ると、「積極的に取り組んでいる」との回答が最も多いのが建設業(25・9%)で、製造業(19・9%)、サービス業(18・1%)、流通・商業(15・1%)と続きます。流通・商業では、「関心がない」も5・5%と、他の業種と比べて高くなっています。(図2)

DOR82号オプション調査図表2

 また、企業規模が大きくなるにつれ、「関心はあるが具体的な取り組みはしていない」割合が低くなり、「積極的に取り組んでいる」が高くなっています。(図3)

DOR82号オプション調査図表3

身近な取り組みから

 次に、具体的な取り組み状況(複数回答)では、「照明の消灯など適正管理」(66%)、「空調機器の適正管理」(44・2%)と、簡単に取り組めるものが上位を占め、「廃棄物発生の削減」(34・3%)、「ガソリン使用量の削減」(29・5%)がつづきます。一方、太陽光発電など「再生可能エネルギーの採用」(4%)や、「製造工程や流通の見直しでエネルギー効率を高める」(6・4%)といった企業活動の本格的な見直しを必要とする取り組みは、まだ一部にとどまっています。

 その中で、積極的に取り組んでいる割合の高かった建設業で、「事業として環境保全型商品・サービスに取り組む」割合が20・9%と、他の業種と比べて飛び抜けて高いことが注目されます。(図4)

DOR82号オプション調査図表4

最大の問題点は情報不足

 最後に、「CO2等削減を進める上での問題点」(複数回答)では、「方法、技術がわからない(情報不足)」が38・1%と最も高く、次いで「従業員に知識・技術がない(人材不足)」が29・5%となっています。さらに、「効果が不明、あるいは期待できない」と懐疑的な回答が26・6%ありました。これも、情報不足に起因する点が大きいとも考えられ、中小企業がCO2削減の取り組みを進める上では、情報提供の重要性がうかがえます。

 この点を企業規模別で見ると、規模が小さいほど、情報不足をあげる回答が高くなっています。一方、100人以上規模では、問題点として人材不足をあげる割合が高く(35・9%)、資金不足や懐疑的回答も約3割あるなど、積極的に取り組むからこそ新たな課題にぶつかってきているとも思われます。(図5)

DOR82号オプション調査図表5

 中同協政策委員会地球環境部会では、CO2削減に向け、中小企業としての自主的な取り組みを強めようと、このほど作業部会を立ち上げました。すでに滋賀、大阪、兵庫、福岡同友会では、電気などエネルギー使用量を把握し、削減に向けた取り組みが始まっています。

「中小企業家しんぶん」 2008年 5月 15日号より